日田市に恋して (上戸木綿子さん 長崎西高61回生-2009年卒)

長崎西高の個性豊かなOBの方々をご紹介する【WOW! 】 へようこそ!編集部の野田です。今回は61回の上戸木綿子さんにお話をうかがうことができました。2020年5月現在、大分県日田市の地域おこし協力隊として勤務されている上戸さん。同級生で、西高時代からの友人の上戸さんと、仕事について、キャリアについて、初めて深い話をすることができました。

こんな人に読んでほしい!

・医療、福祉分野に興味がある中高生/大学生

・地方での暮らしや仕事に興味がある方

上戸さんのプロフィール

61回生(2009年卒)

出身中学:長崎大学教育学部附属中学校

部活動:音楽部

入学した大学:長崎大学医学部保健学科

職業:大分県日田市にて地域おこし協力隊として勤務中

学生時代から、大学選びまで

ーー本日はよろしくお願いします。簡単に自己紹介をしてもらえますか?

西高61回生の上戸木綿子(かみと・ゆふこ)です。

私は西北小学校の卒業生ですが、ここはさだまさしの母校でもあります。西北小には「ようこそ先輩」という学内行事があり、著名な卒業生を招いて在校生向けに授業をしてもらいます。私が4年生の時にはさだまさしが先生として来てくれて、6年生向けに歌を作る授業をしてくれました。

このようなきっかけもあったからなのか、中学校は長崎大学附属中学校へ進学してコーラス部に入りました。

西高では音楽部に入っており、2、3年生のときには全国大会にも出場しました!

西高を卒業してからは、作業療法士になるために長崎大学医学部保健学科に進学しました。大学卒業後は、作業療法士として長崎原爆病院に4年間勤めました。今は大分県日田市で地域おこし協力隊として働いています。

ーーすごいですね!高校時代でとくに印象に残っている出来事はありますか?

3年生のときの運動会が印象に残っています!とくに3年生のクラス別の出しものである「もし教(=もしも教師でなかったら・・・)」では、担任・副担任の先生たちにそれぞれマリオ・ルイージに仮装してもらって、スーパーマリオのワンシーンを再現しました(笑)。2人がはまり役だったこともあって、他のクラスからの評判もよかったです!


ーー高校での文理選択や進路選択ではどんなことを考えていましたか?

高校の文理選択では理系を選びました。国語や歴史など文系科目も好きでしたが、家族に医 療職に就いている人が多かったのと、資格が必要な仕事に就くチャンスが得られることから 理系を選択しました。 大学受験のときに将来の職業について考えてみて、そのときに母親から紹介されたのが作業 療法士でした。私はもともと美術などの創作活動が好きだったのですが、作業療法士という 仕事は人のやりがいや生活を創り出す仕事であり、クリエイティブな要素があると知りまし た。他の医療職についても調べてみましたが、作業療法士が一番しっくりきたので専門の勉強ができる大学を選びました。

作業療法士 人の役割、生き方を考える仕事

ーー作業療法士についてもう少し詳しく教えて下さい。

作業療法士の仕事は、患者さんが望む暮らしを一緒に考えて、その実現をサポートしていくことです。 作業療法士の「作業」とは、生活する中で行うすべての動作を指します。移動や入浴、食事といった日常動作はもちろん、遊びや運動なども含まれます。そのため作業療法士は患者さんがどんな生活を送りたいのか一緒に考えて、それを実現するために有効なリハビリのプログラムを作り、その実行をサポートをしていくのが仕事です。同じリハビリテーションの職種に理学療法士がありますが、こちらは日常の基本的な動作(立つ・座る・寝返りを打つな ど)のリハビリを担うという役割の違いがあります。

患者さんとの会話を通して、その人の役割や生き方について考える機会が多くありました。 職業柄なのか、作業療法士の仲間には人生を自由に楽しもうと考えている人もいました。ある先輩はJICAの事業でスリランカに行ってスリランカカレーを作ることやそのライフスタイルをそのまま仕事にしてしまいました。また大学の同級生は発酵食品を作る仕事を始めたり、日本酒を作る杜氏になった人もいます。

私自身も現在は地域おこし協力隊として働いているように、進路選択に遅すぎるということはなく、社会人になってからでも新しいキャリアは築けると考えています。

日田市に恋して 地域協力隊への転身

ーー作業療法士を辞めて地域おこし協力隊となったのは、何かきっかけがあったのですか?

きっかけは日田市に恋したことです(笑)。初めて日田市を訪れたときは、まだ長崎で作業 療法士として働いていました。そのときに日田の三隈川に行ったんですが、冗談抜きで全身の細胞が喜んでいるような感覚があって!それから半年間は長崎で作業療法士の仕事をしながら、時間を見つけては日田に行く生活を送っていました。当時は「はやく日田に戻りたい な〜」と思いながら仕事をしていたのを覚えています。
もともと地域をテーマに働くことに興味はありましたが、地域おこし協力隊になったのは日田市で暮らすための選択だったんです。半年経っても日田への想いは変わらなかったので、 3年間しっかり日田に関わろうと思って協力隊に申し込みました。


ーーそうだったんですね!地域おこし協力隊の活動について詳しく教えてください。

地域おこし協力隊は、担当する地方に移り住んで地域活性化のための活動を行います。協力隊の仕事は多種多様で、地域によっても異なります。もっとも基本的な仕事には、地域の観光情報をSNSで発信したり、お祭りなど地域のイベントのお手伝をすることです。
私自身も日田市に赴任してから、紅葉狩りをはじめ様々なイベントの企画・運営に取り組んできました。今ではヨガのスキルを活かして、地域の方向けにヨガ教室を主催しています。 また一般社団法人NINAUに所属し、いろんなバックグラウンドを持った社会人が日田市内の学校で授業をする「おとな先生」という事業にも携わっています。 日田での活動とは別に、内閣府の「地域コアリーダープログラム」のメンバーに選ばれて、 福祉先進国と言われるフィンランドに短期留学していました。
協力隊として活動できるのは最大3年間と決まっています。私は約2年半前(2017年4月)に 赴任したので、協力隊の任期は残すところ約半年となりました。

これからのキャリアは?

あと2、3年は日田市で活動する予定です。ヨガ教室や「おとな先生」は最近始めたものです。もうしばらく携わることで軌道に乗るでしょうし、それを通して私もスキルと自信をつけたいと思っています。また今の仕事がとても好きで、毎日の生活に充実感を感じているのも大きな理由です。

現役西高生へのメッセージ 自分が楽しめることを

ーー最後に、高校生に向けてメッセージをお願いします。

いろんな大人を知ってください。
世の中にはいろんな仕事があります。両親や学校の先生、親戚の人、塾の先生など、どんな仕事をしているのか聞いてみてください。
まとまった時間を取って、自分の将来について考えてみてください。 過去に「気分いいな〜感動したな〜楽しいな〜」と思った瞬間や、将来どんな大人になって いたいか(暮らす場所、仕事、一緒にいる人などなるべく具体的に)、どんな世界を創っていきたいかを書き出してみてください。「やりたいことリスト100」を作ったりするのもお すすめです。 知り合いの社長は「文化祭の出し物でディレクションをやったのがとても楽しかった。今の原点はそこ」と言っていました。
自分が楽しんでできることは何か考えてみてください。 私の場合は、人を元気にすること・話を聞くことです。楽しんでできることは無理なく取り組めます。 「自分には何が向いているかわからない」という人は、まずは他人に言われなくても好きでやっていることから始めてみてください。 勉強や部活、仕事が大変なときこそ、自分の生活に余白をもつことが大切です。好きなこと・興味があることに一歩踏み出してみてください。

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