空へ(森山朔さん 長崎西高64回生-2012年卒)

今回は64回生の森山朔(もりやま・はじめ)さんにお話をうかがいました。紆余曲折を経て、大手航空会社のパイロットとして就職し研修中の森山さん。

西高時代の話からパイロットになるための方法など、様々なことを教えていただきました。

こんな人に読んでほしい

・夢があったけど、挫折してしまったな…という方

・小さなころから好きなことがあって、心に引っかかっている方

森山朔(もりやまはじめ)さんのプロフィール

出身中学:長崎大学教育学部附属中学校

部活動:体操部

職業:大手航空会社勤務(パイロット研修中)

医師を目指して西高へ入学

ーー(本多)本日は大雨の中、ありがとうございます!よろしくお願いします。(※インタビュー当日は大雨)

(森山さん 以下敬称略)いえいえ、よろしくお願いします。

ーー(本多)早速ですが、西高へ入学するまでのお話や、西高での生活を教えていただけますか。

(森山)はい。中学校は附属中学校でした。6歳から器械体操をやっていたのですが、西高には体操部があったので、それも進学した理由の一つです。両親が医療関係の仕事をしていたので、西高に入学した時は自分も医師になりたいと思っていました。

同じ64回生の樋口さんとは中学校から一緒で、ichikaさんとは体操部で一緒でした。ichikaさんとは今でも仲が良くて、よく連絡を取ります。

高校入学時は医師を目指していたのですが、高校1年生の頃にいろいろあって、医師を目指すことを辞めました。それから勉強へのやる気をなくしてしまって、高校時代の成績はさんざんでしたね…。

パイロットになりたい!

福岡の小倉で1年間浪人生活を送っていたのですが、その最中に予備校の同級生が自衛隊のパイロットを受けるという話を聞いて、驚いたんです。小さなころからパイロットへの憧れはあったのですが、どこか違う世界の話、自分には関係ないと思っていて…。

「パイロットになる道がある!」というのを知って、心が動きました。自分も受けてみようと思い立って受験をしました。一次試験は通ったのですが、当時は体操で腰を痛めてしまっていたので、二次試験の身体検査で不合格になってしまいました。

それで一旦パイロットはあきらめて大阪へ行き、専門学校に通いながら、大学の3年次編入を目指して勉強をしました。体操の指導者になりたいと考えていたこともありましたし、とにかく色んな職業を経験して自分に合う仕事を探そうと、大学卒業までは様々なアルバイトやインターンをやりましたね。

土木、アパレル、体操の指導者、ITベンチャー、プログラミングとメディア、食品加工工場、とび、運送会社、などなど…。当時経験した中だと、IT系企業は自分に一番合っていたように思います。

一度はあきらめたパイロットへの道

ーー(本多)編入を目指すという道もあるんですね。

(森山)はい。無事に京都の大学に3年次に編入することができ、経済を学びました。学生生活も充実していたのですが、やっぱり一度はあきらめたパイロットへの気持ちが再燃してきて…。

その気持ちが出てきてから、父親とも何度も話しました。それである日、「もう一度身体検査を受けてみて、合格したらパイロットを目指したい」という提案を受け入れてくれたんです。

自衛隊のパイロットの適性検査と同じ身体検査を自費で受けられるのですが、受けて見たらパスしました。そこで練りに練ったパイロットになるまでのプランを、一緒にお酒を飲んでいるタイミングで、父にプレゼンしたんです。

実はパイロットには新卒で入社する以外にもいろんな道があって、その一つが「有資格者採用」という、飛行機の操縦免許を持っている人向けのものです。新卒では学歴で不利だと思った僕はこちらの採用でプランを練りました。

何年でパイロットになれる。そのための学費がこれくらいかかる。それを援助してくれないだろうかと頭を下げました。「それ以降は知らんぞ」と言われたのですが、父は承諾してくれました。

念願かなって、空へ!

ーー(本多)そこまで調べ上げてきたら、無碍にはできないですね!それからどういった経歴でパイロットになったんでしょうか。

(森山)はい。大学を卒業してから、フライトスクールに通いました。

まずは北海道で3ヶ月。アメリカ(サンノゼ)で1年1ヶ月。そして大阪(八尾)で、途中コロナでの中断があったのですが、合計で2年間。そして2021年2月に必要な資格をすべて取得し終わり、それから航空会社への就活という流れです。2021年の5月には内定をいただけて、8月に入社しました。現在(インタビューは2022年3月)は1年間の地上研修中です。

ーー(本多)なるほど、全然知らない世界なので、勉強になります!ちなみにパイロットになるには、他にも方法があるんでしょうか?

(森山)はい、いくつかの方法があります。

※森山さんが教えてくれた、パイロットになるためのルート。会話にすると長くなるので、箇条書きでまとめています。

・自社養成

航空会社の新卒採用。1~2年は地上研修。その後航空会社の訓練書で訓練を積み、2~3年でパイロットに。給料をもらいながらパイロットを目指せる。

・航空大学校

大学や短大で2年以上学んだ後に受験が可能。2年半~3年でパイロット資格を取得できる。

・私立大学の航空科

東海大学。桜美林大学。法政大学。熊本の崇城大学などにある、航空操縦学を学べる学部で資格を取得。

・フライトスクールで操縦免許を取得

森山さんが選んだ方法。自費で民間のフライトスクールに通い、資格を取得。

ーー(本多)そんなにいろんな方法があるんですね。全然知りませんでした。

(森山)そうなんですよ。免許の種類もたくさんあって、

・自家用と事業用
・エンジンの数、単発機と多発機
・計器飛行証明(視界がない中で管制官の指示を受けて飛ぶ免許)
・サイズ 一人で操縦できるか、二人以上で操縦するか。客席数や大きさなど
・大型旅客機だと、機体ごとの免許がある。787なら、787だけ。

などなど、飛行機は操縦するための知識も経験もたくさん必要で、万が一があってはならないので、免許が細分化されているんです。

新卒だと最短で23~24歳でパイロットになり、20代でキャプテンという方もいますね。

小さなことでもいいから、好きを大事に

ーー(本多)ありがとうございます。パイロットの世界は勉強を続けることが欠かせないんですね。最後に、現役の西高生にメッセージがあればお願いします!

(森山)西高は皆さん優秀な方ばかりですし、勉強が得意な方は、それを活かすといいんだと思います。ただ、僕のように成績が伸び悩んでいたり、行きたい大学に行けなくて、浪人してもそれでもだめで、、という挫折を味わう人もいると思うんです。

それでも結局、人生は続いていきます。何かしら、どんな形でも、自分のやりたいこと、得意なこと、勉強していて楽しいなと思えることを見つけてほしいなと思います。僕みたいに小さい頃の夢でも、なんとかたどりつくことができることもあります。

訓練はこれからですし、まだスタートラインに立ったところだけど、この道を選んでよかったなと今は思います。訓練で教官から怒鳴られることもありますけど…。

アメリカで訓練していた頃、日本とは違って自由に飛ばせてもらえることがありました。教官と同期を連れて、ゴールデンゲートブリッジの周りを飛びました。

想像もしなかったような景色を自分で操縦しながら見るのは、格別の経験でした。

紆余曲折の道を援助してくれた両親には本当に頭があがりません。僕は親が医療関係だったので、当然のように自分もそうなるんだろうと思っていました。でも、いろんな刺激を受けて、いろんなことを考えて、進路が変わりました。

そんな風に色んなことを考え始めるのが、高校生の頃だと思います。

たとえばですが、高校2年生の頃、西高のプログラムでオーストラリアに行きました。

その時感じたのは、英語って道具、コミュニケーションのための「ことば」なんだ、という感覚です。これは経験させてもらって始めてわかりました。それまでは英語はただ勉強のためだけのものという感じだったので。そんな経験をさせてくれた西高には感謝しています。

ーー(本多)貴重なお話をありがとうございました!研修がんばってください!

(森山)はい、ありがとうございます!

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